フラット35
住宅金融支援機構は2月24日、民間金融機関と提携して提供している長期固定金利型の住宅ローン「フラット35」の融資上限率を撤廃しました。

これまで住宅購入額の9割を上限としていましたが、全額を融資することが可能になりました。

貸し倒れのリスクを考慮して、金利は通常より0.4%程度上乗せされますが、住宅購入のハードルが低くなります。

表向きの狙いは4月の消費増税後の景気落ち込みを回避することにあります。

頭金のない個人の住宅購入を促せば、住宅販売の裾野を広げられます。

購入層を広げることで、駆け込み需要の後に訪れる反動を抑えるという意図があります。

ですが、本当の狙いは「住宅ローンのシェアを民間金融機関から奪回することだ」と業界関係者は囁き合います。

日銀の量的・質的金融緩和が長期化するとの見方から、住宅購入者の間で金利先高観が芽生える状況にはありません。

フラット35の金利が1.79%と史上最低であっても、全期間固定の住宅ローンの魅力は相対的に小さくなっています。

「住宅ローン利用者全体に占めるフラット35の割合は2割前後」(住宅金融支援機構)にとどまるといいます。

加えて足元では、増税前の最後の駆け込み需要をにらんで、民間銀行の間で変動型、短期固定型の金利引き下げ競争が激化しています。

このような環境の中、金利で優位に立てないフラット35が「頭金なし」を足掛かりに契約増を目指しているのではないかと見られています。

しかし現実は「目先の負担減から金利の低いローンを選ぶ人が圧倒的」(業界関係者)で、思惑通りにシェアを獲得するのは簡単ではありません。

もっとも、4月の消費増税後、デフレ脱却への道筋が仮に見えてくるのであれば、金利は上昇局面に入ります。

そうすれば全期間固定型住宅ローンに注目が集まり、フラット35への借り換え需要が起こることも考えられます。

増税前の駆け込みという、官が作り出した特需を巡って民間が奪い合いを演じています。

これに乗じて、半官半民の住宅金融支援機構が失地回復とばかりに優遇措置で攻め込む構図にも映ります。

民間金融機関を脇から支えるという本来の役割は霞みつつあります。