成功の秘訣は必要性ではなく願望を刺激すること

フェラーリ

シンガポールは地上で最も人口密度の高い国で、政府は自動車をあまり歓迎しません。

そのため国は、目の玉が飛び出るほど高い自動車税を課して、国民に車を買わせまいとします。

シンガポールでは、ごく普通の車に、イギリスや米国での高級車並みの値段がつきます。

しかも、スピードを出せる長い一本道もなければ、景観に富んだ道もなく、おまけに最高速度はたったの時速90キロです。

にもかかわらず、シンガポールは世界一フェラーリが売れる国です。

シンガポールで、フェラーリが必要な人は1人もいません。

いや、この国でフェラーリを所有するのは馬鹿げているとさえ言えます。

島のどこにも、フェラーリで楽しくドライブできる場所はありません。

スーパーカーなのに、加速できてもせいぜいセカンドギア止まりです。




シンガポールでは何故多くの人がフェラーリを買いたがるのか

では、フェラーリが一番高い国の1つであるシンガポール(イギリスの4倍以上)で、何故これほど多くの人がフェラーリを買いたがるのでしょうか?

それは、シンガポールの人はフェラーリが欲しいからです。

人が物を買うのは、それが必要だからでも、買うべきだからでもありません。

買うのは「欲しいから」です。

財を成したシンガポール人は、フェラーリを欲しいと思います。

そして、それが全てです。

フェラーリがシンガポールに全く向いていなくても、どんなに高くても、セダンに乗る方がずっと快適であっても関係ありません。

大切なのは必要性ではありません。

欲しいという感情が、絶対的な支配力を発揮するのです。

大金を投じて、「皆さんにはコレが必要です」と消費者を説得しようとするのは構いません。

しかし、消費者が欲しがっているものを見極め、どうやってそれを提供するかを考える方が断然うまくいきます。

「必要」は理屈ですが、「欲しい」は感情です。

どんなに頭の良い人であろうと、感情には決して抗(あらが)えません。

500ドルのモンブランのペンも、ロレックスの高価な腕時計も、ロンドンのマンションも、ルルレモン(カナダのスポーツウェアメーカー)の高級ヨガマットも、必要かと言われれば、必要ではありません。

しかし、みんなはこうした商品が欲しいのです。

である以上、あなたのビジネスや商品やアイデアを、必要だとかマストアイテムだと言って売り込むと、非常に大きなリスクを背負い込むことになります。

あなたがどんなに正しくても、顧客を獲得できないかもしれません。

考えてみてください。

誰も、「ビデオデッキを捨ててDVDへ切り替えよう」というキャンペーンを張る必要はありませんでした。

みんな、とにかくもっとキレイな画面で映画を観たいと思っていました。

ある健康関連企業は、商品を売るときに、うっかり必要性に訴えてしまいました。

その意見はもっともだったかもしれませんが、消費者は買いませんでした。

その代わり、やせ薬や脂肪吸引、効果の疑わしい装置に お金を投じました。

そこで会社がやり方を変え、願望をくすぐるような宣伝を行なうと、人気が出て売れ出しました。

使う言葉を変え、話す内容を変えたことで、買いたいという気持ちに変化が起こったのです。

商品の中身は同じだったにもかかわらず。

必要とされるモノより、望まれるモノを提供しよう

社会の変化も原理は同じです。

専門家は野菜中心の食事を摂らなくてはダメだと口をそろえますが、誰もそんな食事は望んでいません。

企業が何かの啓蒙活動に触発され、肉少なめの食事を欲しがるようにならない限り、私たちは野菜ではなく肉を食べ続けるでしょう。

食べ物を必要としている人は世界にまだ10億人いますが、世界は、彼らに食べ物が行き渡ることを心から望んではいません。

多くの人が「なんとしても飢餓の撲滅を」と思わない限り、飢餓はなくなりません。

画像処理されたガリガリのスーパーモデルを広告看板や雑誌に載せるのは良くありませんが、世間は本気でやめてほしいとは思っていません。

私たちがもっと現実的な形の美しさを望まない限り、衣料品店は変わりません。

レジ袋の生産をもっと減らす必要があるのは明らかですが、誰もそれを本気で望んではいません。

台車か何かに物を載せて運ぶのが流行らない限り、レジ袋は相変わらずどこでも目にし続けるでしょう。

どれだけ必要とされていても、望まれないものは現実にはなりません。

何をすべきかを語ろうとする組織は、おそらくうまくいきません。

勝つのは、社会をおもしろく、カッコよく、楽しく、望まれている方向へ変える組織でしょう。

ナイトクラブのプロモーターだったスコット・ハリソンは、2006年にNPO法人の「チャリティー・ウォーター」を設立しました。

ブランディングとセレブのCM起用の力を理解しているハリソンは、誕生日に募金をして、アフリカにキレイな水を届けるという最高にクールなキャンペーンを進めています。

賛同者や、誕生日には「プレゼントの代わりに募金を」と呼びかけます。

たったこれだけのことで、アフリカへキレイな水を届けるという重要な活動には、毎年2000万ドル以上のお金が集まっています。

ビジネスの運営でも、社会の変化でも、成功の秘訣は、必要性ではなく願望を刺激することです。

何が求められているかを割り出し、それを望みどおりの形で作ります。

そして、欲しいと思わせる言葉で説明します。

必要性は、そこに混ぜ込むだけで良いのです。


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