肉食動物と草食動物の違いとは

ライオンとシマウマ
食物を摂取する目的の1つは、生きるためのエネルギー源を得ることであり、もう1つは身体を維持するための材料を得ることです。

生物の体は変化していないように見えますが、実は組織レベル、細胞レベル、分子レベルでみますと、目まぐるしいスピードで分解と合成が起きています。




皮膚や腸管上皮は、古い組織が脱落して新しいものと入れ替わっていますし、骨の内部でも、破骨(はこつ)細胞が骨組織を破壊する一方で、造骨細胞が新しい骨組織を作っていきます。

このような変化は、あらゆる組織や細胞に見られる現象で、脂肪組織の脂肪ですら、引っ切り無しに分解と合成が起きているのです。

これは「動的平衡」と呼ばれる、生命体の最も基本的な現象です。

要するに、古くなって壊れてからでは遅いので、壊れる前に壊して新品と入れ替えるのです。

そのためには、「身体を作る素材」」を摂取しなければいけません。

では、「身体を作る素材」とはどういうものがいいのでしょうか。

たとえば、人体を構成する物質は水分(60~70%)、タンパク質(15~20%)、脂質(13~20%)、ミネラル(5%)、糖質(1%)という比率です。

これを食物から摂取するのですから、タンパク質と脂質が豊富なものでなければなりません。

そういう観点から、動物の体と植物の体を見てみますと次のようになります。

【食糧としての動物と植物の違い】

★食糧の入手の難易
動物・・・困難
植物・・・容易

★動物の体を構成する成分
動物・・・多い
植物・・・少ない

★消化吸収するメカニズム
動物・・・シンプルでいい
植物・・・複雑

★腸内細菌との共生
動物・・・あまり必要としない
植物・・・絶対に必要

植物の体(葉、枝、幹、花、根など)には、一般にタンパク質と脂質は少なく、タンパク質が含まれていても、アミノ酸の組成は動物の体のアミノ酸とは異なっています。

つまり、植物を食べたとしても、その成分から動物の体は直接作れないことになります。

草食動物が植物を食べて体を維持するためには、植物に含まれる物質を、なんとかして動物の体用の成分に作り変えなければなりません。

草食動物の場合、その作業は消化管の共生細菌や微生物が行なっていたわけです。

ですから、あれほど大掛かりで手の込んだ消化管が必要だったのです。

植物は大量に生えていて動かないため、食物として摂取するのは極めて簡単ですが、それで体を作るとなると、大変なのです。

一方、「動物の身体を作る素材」として、動物の身体は理想的です。

必要な物質はすべて過不足なく揃っています(何しろ動物の身体ですから)。

タンパク質と脂質を多く含み、しかもタンパク質は「動物の身体」が必要とするアミノ酸で構成されています。

つまり、動物の身体を作る素材を摂取するなら、肉食(=動物を捕えて食べる)がベストなのです。

これは、消化管の常在菌を見ても明らかです。

肉食哺乳類と草食哺乳類の消化管常在菌を比較しますと、肉食哺乳類の腸は、「常在菌の数が少なく、細菌の種類も少ないのが特徴です。

これは要するに、動物の体を食べれば、自前の消化酵素でも簡単に消化吸収できることを意味しています。

草食哺乳類は、消化管常在菌との共生が必要だったのですが、肉食哺乳類では、その必要性は遥かに低いのです。

当然、消化管の構造もシンプルでいいし、腸管の長さも短くていい。

消化管が短くなれば、体もその分軽くなり、俊敏な動きが出来て、狩りに有利になります。

獲物の動物を捕らえるのは確かに大変ですが、いったん捕らえて食べてしまえば、すぐに消化吸収できて、手軽に「身体を作る素材」を手に入れることが出来ます。

要するに、肉食動物と草食動物の違いとは、食糧を手に入れる段階で苦労するか、食糧からエネルギーと身体を作る材料を手に入れる段階で苦労するかの違い、と言えるかもしれません。


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