中国の不動産バブル崩壊
中国は、共産党独裁支配資本主義という独特の政治・経済・社会構造を作り上げました。

この独特なシステムが問題のありかを分かりにくくし、これまで危機を脱してきたと言えます。

海外からの投資も、ほかにあまり大きな投資先も探せなかったこともあり、急に減ることはありませんでした。

情報操作もある中で、これまでのバブル経済破綻の危機は回避され、多少成長率は下がりながらも、成長を続けることができました。

シャドーバンキングシステムなども、これまでは中国の経済成長を支える役割を担ってきました。

しかし、こうした国による操作は、かえって問題を大きくすることもあります。

経済的な破綻をつくろうことができたシャドーバンキングもさすがにその維持は困難になってきました。

シャドーバンキングのデフォルトが起きかけると、不可解な投資家などが現れ、なんとか大きな問題にならないようにしてきました。

しかし、これを続けることはさすがに難しくなっています。

まずは、不動産バブルの破綻から始まります。

中国国家統計局が6月18日発表した主要70都市の5月新築住宅価格指数(公共性の高い低価格住宅除く)で、半数の35都市が前月に比べて低下しています。

横ばいは20都市、上昇は15都市でした。

明らかに住宅価格は下がってきています。

中国経済を活性化させてきた一つは住宅など不動産への投資とその利潤による市場の活性化です。

倍々ゲームで不動産価値が上がる時には、まさにあぶく銭が市場に回ります。

これはかつての日本も経験したことです。

銀行の担保価値も上がり、当然、それは他の分野の投資も可能にさせます。

しかし、不動産価値が下がるとこの構図は一気に崩れます。

銀行は新たな貸付を厳しくしますし、経営の悪化した企業には早期返済、一括返済を要求してきます。

これが企業の倒産を加速させます。

まさに負のスパイラルに入ろうとしています。

中国にはいくつか特別な問題もあります。

まずは環境汚染。

これは欧米の企業、企業家の印象を大きく損なっています。

中国の将来性を買って、中国に進出したけど、できるだけ早く中国から脱出したい、という声も聞きます。

良い人材が中国に行かなくなってきています。

またこれは海外の資本投入を減少させることにもなります。

中国への期待からどんどんと大きな海外資本が投資されてきましたが、これはすでに減る傾向を示しています。

中国からの資本や人材の流出も問題です。

中国の政治制度のもとでは、状況が変わると一気に財産を没収されるリスクがあります。

財産没収だけでなく、刑務所に入れられることも現実的なリスクとしてあります。

大きな富を得た事業家は、海外に土地を買い、資産を海外の銀行に移し、リスクヘッジをするとともに将来の移住をも模索します。

中国からすると、これは資本と人材の流出にほかなりません。

中国は留学生を海外に多く送り出すようになってきましたが、この留学生があまり母国に帰国したがらなくなってきたことも問題です。

5年くらい前までは中国の可能性も感じた留学生は、母国に帰ってひと仕事したい、といっていました。

しかし最近はあまりそうした声を聞きません。

できたら日本を含めた海外で就職したい、というのです。

日本との関係の悪化、ベトナムやフィリピンなどASEAN諸国との関係の悪化もかなりのマイナスです。

これはアメリカ、ヨーロッパとの関係をも負の方向へ引きずります。

ロシアもウクライナ情勢から孤立しつつありますが、ここでロシアと中国が密接な関係になりつつあります。

しかしこれは逆に中国をアメリカやヨーロッパから遠ざける効果もあります。

中国の経済成長期は、日本、ASEAN諸国、アメリカ、ヨーロッパとの関係も良く、全方位的な友好関係がありました。

実はこれは「中国の奇跡」の非常に大きなポイントなのです。

今、これが壊れつつあります。

政治の論理と経済の論理は違いますが、時差があってこれらはお互いに引きずられるものなのです。

私が懸念する最大のポイントは治安の悪化です。

中国経済が負のスパイラルに入ったとき、治安の維持はどこまでできるのか、ということです。

すでに地方での暴動は、年間数万件とも言われます。

情報が明確に出てきませんから、数字そのものはわかりませんが、それでも非常に多くの暴動が今の時点でも起きています。

これが本当に経済がさらに悪化したらどうなるか。

おそらく治安の悪化がさらに経済の破綻を加速させるという負のスパイラルに入るでしょう。

こう考えると、中国の状況はかなりリスクの高い状況になっていることがわかります。

日本はリスクを減らすために、いくつかのことをすべきでしょう。

混乱があってもすぐに対応できる準備を進めることも必要ですし、現在の敵対関係をできるだけ和らげることも必要です。

国内問題が外交問題に転嫁されることを防ぐ必要があります。

友好路線とともに、リスクを減らす現実路線の両方をもって、凛として対応することが求められます。