中国の不動産バブル崩壊
野村証券は「住宅の供給過剰と不動産業者向け融資資金の不足が相まって、住宅市場の崩れを引き起こし、中国の国内総生産(GDP)の伸びが6%を下回ることもあり得る」と調査リポートを発表しました。

野村証券の3人のアナリストは、既に不動産市場の下方修正は「もし起きたら」ではなく「どれだけ厳しくなるか」の問題になっているという見解です。

そして政府がこの問題を回避する手立てはあまりないと指摘、アナリストの1人、ツィウェイ・ツァング氏は「(この問題に)世界共通に対処できる正しい政策はない」と話しています。

野村証券は4月初めには「中国の第1四半期の経常収支が赤字になる」と予想したりして、世界の大手機関投資家の中でも最も弱気の見方をしていています。

最近発表された実際の数字は、黒字を保っていたもののここ3年の四半期ベースで最も小さい70億ドル(約7100億円)にとどまりました。

こうした経緯もありますので、野村の今回の不動産バブルに関する見立てが正しいのか、それとも空騒ぎに終わるのかはまだ分かりません。

中国の不動産バブル

野村証券の見方の根拠は、中国の26省のうち4省で第1四半期の不動産投資がマイナスに転じ、その4省のうち黒竜江省と吉林省ではマイナス幅が25%を超えている、というところにあります。

野村証券にとっては、これが他の省にも同様の問題が発生する警告と映っているわけです。

不動産投資の落ち込みは、建設と販売の落ち込みにつながります。

そして不動産市場の中国経済に占める巨大な役割を考えれば、不動産市場の減速は中国のGDP成長率の減速を意味します。

ただ、野村証券が控えめに見立てている側面が1つあります。

不動産と、鉄鋼やセメントなどの関連産業の中国GDPに占める比率を16%としている点です。

他のエコノミストはその比率を25%程度と試算しています。

この野村リポートの発表後間もなく、スイス大手銀行のUBSが中国不動産市場のリポートを発表しましたが、弱気にみているものの、野村ほどではありませんでした。

「中国政府は不動産市場の下落に対しまだその軽減策や対処する意思も持っている」とUBSレポートは分析しました。

その対策は社会インフラ投資や不動産市場の規制緩和などを含んでいますが、それでも不動産市場に対する懸念を反映させてGDP成長率予測を2014年について7.5%から7.3%へ、2015年は7%から6.8%へそれぞれ下方修正しました。

実際、不動産市場に関して今年発表された指標は芳しくありません。

中国の不動産についての民間データ会社のチャイナ・リアル・エステート・インデックス・システムは、同社が調査を続けている44都市で売上物件数ベースでは4月に前月比9%減となった、と発表しました。

一方、4月の住宅の平均価格は前月比0.1%、前年同月比9.1%それぞれ上昇したとしています。

この伸び幅は、住宅市場が前回の下降局面から上昇に転じた2012年半ば以降で最低となりました。

ただ、この統計は2010年から取り始めたもので歴史は長くありません。