財布の紐をゆるめるセールスの奥義「コントラストの原理」

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人間の知覚には「コントラストの原理」というのがあります。

これは、順番に提示されるものの差異を私たちがどのように認めるかに影響を与えます。




簡単に言うと、2番目に提示されるものが最初に提示されるものと、かなり異なっている場合、それが実際以上に最初のものと異なっていると考えてしまう傾向があるのです。

したがって、最初に軽いものを持ち上げて次に重いものを持ち上げると、最初に軽いものを持ち上げずに2番目のものを持ち上げた場合よりも重く感じます。

コントラストの原理は精神物理学の領域で確立されたものですが、重さの知覚だけでなく、あらゆる種類の知覚に適用することができます。

あなたは、右手をちょっと熱いお湯に入れています。

そして、左手は氷の入った冷水に入れています。

その後、両手をぬるま湯の中に入れます。

すると、どうでしょう。

同じ温度のぬるま湯に手を浸しているのにも関わらず、右手は少しひんやりと感じ、左手はあったかいと感じるはずです。

また、パーティーで最初に魅力的な人と話をして、次に魅力的でない人に会うと、その人は実際以上にみすぼらしく見えてしまいます。

コントラストの原理の大きな利点は、これがうまく機能するばかりでなく、事実上見破ることが不可能という事実にあります。

これを利用する人は、自分のためにその場面を組み立てているという形跡を全く見せずに、その影響力を利用することができるのです。

あなたが紳士服のお店の店員だとしたら、スーツとセーター、どちらの品を最初に見せますか?

大金払ってスーツを買ったあと、セーターまで買おうとしないのではないかと考えがちですが、コントラストの原理に従うと、スーツを先に買わせたほうが、お客さんはセーターの価格をスーツの金額と比較しますので、財布の紐をゆるめることが出来ます。

おもしろいことに、スーツを買う目的で来店したお客さんでも、スーツを買う前よりも、買った後に小物類を見た方が、必ずといっていいほど多くのお金を支払う傾向があります。

逆に、安い商品を最初に見せて次に高い商品を出すと、それがいっそう高いものに感じられてしまいます。

以前、不動産業の友人と話したとき、高い賃料の物件の契約を決めるコツを教えてもらったことがあります。

その友人によると、希望の立地や間取り、予算などの条件をヒアリングしてから、すべての条件に合う物件をそのまま紹介するのではなく「せっかくの機会ですから、まずはいろいろな物件を見て生活のイメージを固めていきましょう」とかいいながら資料をたくさん印刷して、最初に明らかに予算オーバーだけれども「素晴らしい物件」の内覧に連れていくそうです。

 
当然、顧客は将来の自分の生活を想像してよい感想を述べてくれますから、さりげなく言葉を添えつつ、そのイメージを膨らませてあげるそうです。

とはいえ、さすがに高すぎてすんなりと契約が決まることはありません。これは想定どおりで、実は次のステップが重要なのだそうです。

 
次に見せるのは本来の予算には合うものの、最初の物件から大きくグレードが下がる「普通の物件」だそうです。

想像どおり、即決で「これはひどい。あり得ないね」ということになります。これも想定済の反応です。

 
そこで、予算よりも少し上の物件で顧客が、頑張ればギリギリ出せそうな価格の「良い物件」を見せるそうです。

ある意味、これが本命という物件をようやく見せるわけです。

普通は最初から予算オーバーで対象外の物件なのですが、最初に素晴らしい物件を見ているためにその印象が強く残り、もともと考えていた予算では「あんなみすぼらしい物件になってしまうのか」と何とか頑張って契約しようとする人が多いそうです。

それで決まらなければ、他の担当者と同じように残ったチラシの中から紹介するだけですから、物件を見せる順番がとても重要なのです。

今回の不動産のケースを「コントラストの原理」で説明します。

最初に「素晴らしい物件」を見てしまうと、次に見る「普通の物件」が実際以上にみすぼらしく見え、本命の「良い物件」に決まってしまうようです。

自動車のディーラーもコントラストの原理を使います。

交渉で新しいクルマの売値を決めた後で、オプションを次から次へとお客さんに勧めるのです。

100万円以上するクルマの取り引きの後では、ナビゲーターシステムなどのオプションを付けても、ほとんど取るに足らない額に思えるのでしょう。

ここで使われるトリックは、すでに決定している額に比べれば、1つひとつの価格など取るに足らないものに見えるように、オプションを別々に提示することなのです。

一見些細な額のオプションでも、次々に決めていってサインした契約書を手にしたお客さんは請求額が思いもよらず高くなってしまったことに気づきますが、自分以外に責める人も見つかりませんので、クルマのディーラーは柔和な笑顔で対応すれば問題ありません。

カエルを使った面白い話があります。

沸騰したお湯が入った鍋にカエルを入れたら、カエルは瞬時に飛び出します。

しかし、水からだんだん煮ていけばカエルは気づかず茹であがる、というものです。

「コントラストの原理」によって水(18度)から沸騰したお湯(100度)に飛び込めば、誰だって自分が尋常じゃない世界に迷い込んだと気づきます。

しかし、少しずつ時間をかけて自分の世界が水からお湯に変化していったとしてら、その小さなコントラストにカエルは気づきはしないでしょう。

あなたはカエルではないですが、もしも、あなたが「正しい」と思っているものが10年、20年かけて刷り込まれた価値観だったら・・・ご用心を。

日常生活においても、「コントラストの原理」を味方につけて、人に見破られない、嫌われない程度に応用してみてください。


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