「損・得」はビジネスシーンの文章、企画書、提案書、依頼書などでも直ぐに使えます。
たとえば、片面提示の企画書は一見、景気良くまとまりますが、見る人が見れば突っ込みどころ満載の信頼に欠ける文章だと受け止められてしまいます。
また、社外の人に仕事を依頼するとき、メリットだけを書き連ねれば引き受けてもらえる確率は上がるものの、作業に入ったあと、トラブルが生じるかもしれません。
多くの人の協力ナシに物事が進まないビジネスシーンだからこそ、デメリットをきちんと提示し、その上で得られるであろうメリットを伝え、最後に企画への意気込みや「あなたに頼みたい」という想いを書き添えるべきです。
そんな損・得両面の揃った文章こそ、相手からの信頼を深めるトリガーとなるのです。
そして、損・得という「順番」にも意味があります。
先に損を示し、あとに得を伝えます。
両面提示を行なう上で重要なのは、ネガティブな情報を先に提示したあとで、ポジティブな情報を伝えるという順序です。
最後にネガティブな話を持ってくると、どうしても相手の心に後ろ向きな印象が強く残ってしまいます。
それではいくらメリットを盛り込んでも、心は動きません。
そうではなく、先にデメリットを淡々と並べ、それを上回るメリットとともに締めくくりましょう。
「私が今回推薦する○○は、とても有能で、社内での評価もトップクラスです。ただ、「まだ若すぎるのでは?」と思われるかもしれません。けれども若い分、これからの成長も期待できます」
「こういうところが短所ですが、こういう長所もあります」が基本です。
最後に長所を伝えられると、親近効果と呼ばれる働きが生じ、相手の心にはポジティブな印象が強く残りますよ。