8月貿易赤字9603億円。円安でも日本の貿易赤字は増え続ける

貿易赤字
財務省が9月19日に発表した8月の貿易統計速報(通関ベース)によりますと、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9603億円の赤字でした。




14ヶ月連続の赤字で、第2次石油危機時の1979年7月から1980年8月までの最長記録に並びました。そして赤字額は8月としては最大でした。

貿易収支

原発の稼働停止に伴い火力発電用の液化天然ガス(LNG)輸入の高止まりが続いている上、円安の進行で原油など輸入品全体の価格も上昇し、貿易赤字から抜け出せない状況が続いています。

輸出額は前年同月比14.7%増の5兆7837億円で、6ヶ月連続して増加し、数量ベースでも1.9%増と、2ヶ月連続のプラスでした。

米国向けの自動車輸出が好調だったほか、ペットボトル原料などの有機化合物も伸びました。

一方、輸入は16.0%増の6兆7440億円となり、10ヶ月連続で前年を上回りました。

原油が相場の上昇や円安の影響で27.2%の大幅増で、半導体など電子部品や衣類の輸入も増えました。
 

地域別の貿易収支は、対中国が3041億円の赤字、対欧州連合(EU)が738億円の赤字。

対米黒字は29.3%増の4953億円で、8ヶ月連続の増加でした。 

輸出価格/輸入価格の比で、この10年で半導体・電子部品の交易条件は40%も悪化しました。

この結果、輸出額は増えたのですが、輸出量は2010年から減り続けています。

円安の最大の恩恵を受けている自動車産業でさえ、輸出台数は減っています。

最新鋭の工場はアジア諸国に建てられ、海外生産比率が上がっているからです。

このような空洞化は、ここ5年の円高局面で大きく進みましたが、円安になっても工場が日本に帰ってくる兆しはみられません。

法人税や高賃金や雇用規制などの苦しみがあるからです。

内閣府の調査では、日本企業の海外生産比率は現在の17.7%から5年後には21.3%になると予測しています。

海外投資比率も、2年前の15.9%から今年は21.5%になる見通しです。

こうした調査はすべて大幅な円安になった後に行なわれたもので、企業が一時的な為替レートの変動より日本の競争条件の劣化を重視していることを示しています。

 
日本経済の本質的な問題は「デフレ」でも「円高」でもありません。

日本企業、特に製造業が世界市場で新興国に負け続けていることなのです。

これに対応するため、グローバル企業は国内に投資せず、海外生産を増やしています。

それが国内投資が増えず、ゼロ金利になる原因です。

それを改善しないで、日銀がいくらお金を配っても経済は回復しません。

 
このままでは、あと3年ぐらいで経常収支も赤字になるでしょう。

そうすれば巨額の政府債務を支える国内貯蓄も減り、財政破綻の危機が迫ってきます。

安倍政権がやるべきなのは無意味な量的緩和ではなく、主要国で最高の法人税率を下げ、雇用規制を緩和し、TPP(環太平洋経済連携協定)によって新興国との連携を強化するなど、日本企業の国際競争力を高める本当の「第三の矢」です。


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