狙われる個人情報

生徒
ビッグデータ! 聞いたことがあります。
つまりビッグデータが最強の営業戦略であるということですか?
先生
最強かどうかは分かりませんがマストな戦略になりつつあることは確かですね。
今いちばんビッグデータを持っているところはどこだと思いますか?
それは検索エンジンなんです。それから、Amazonやスマホのキャリアも膨大なビッグデータを持っています。
生徒
あっようやく検索エンジンの話に繋がってきましたね!

先生
ネットではゼロ距離であらゆるものが繋がり、あらゆるライバルとバトルロワイヤルした結果、コンテンツは0円というフリーミアム戦略が主流となっています。




生徒
そのフリーミアム戦略というのはなんなんですか?
先生
メインコンテンツは無料でプレミアムサービスは有料という仕組みです。
簡単に言えば、ほぼタダということです。
生徒
ほぼということはちょっとは有料なんですね?
先生
そうです。例えば広告バナーなんかは有料ですが、実際にはユーザーがクリックしてもお金は掛かりません。その先でユーザーが買い物をするかは別ですが、サイトオーナーにはバックマージンが入ります。
他にも無料ユーザーはダウンロード時間が掛かるけど、有料ユーザーはスピードが速いとか、アマゾンプライム会員のように注文したものが数時間で手元に届くといったサービスもあります。
生徒
なるほど。理解できました!
スマホのアプリゲームも基本無料でアプリ内課金が多くなりましたよね。
先生
はい。なぜ基本が無料かというと、ゼッタイに勝てないタダの壁があるんです。
生徒
エッ!どういうことなんですか?
先生
仮に同品質の商品があれば、中身は同じですからどうなりますか?
生徒
中身が一緒なら価格が安いところで買いますね。
先生
ですよね。ネットのように距離に左右されず、検索すればライバルショップがすぐに表示され選択肢が豊富にある場合には、同品質の商品は最安値に人気が集まるんです。
これを一物一価の法則と呼びます。
生徒
一物一価ですか?
先生
はい。ひとつのモノはひとつの価格に落ち着くということです。
生徒
理解出来ました。考えてみれば当然ですね。
先生
だから高く売るためにはサービスという付加価値を付けることになります。
日本は高度経済成長で一気にものづくりの質量が上がりましたから、国内で潰し合いを結果、製品性能に差がほとんどなくなったんです。そこで80年代からはサービスとディスカウントの時代が訪れます。
生徒
スマイル0円とかですか?(笑)
先生
それです(笑) 接客に力を入れるようになり顧客ニーズという言葉が盛んに聞かれるようになりました。90年代にはコギャルブームが巻き起こり、ブームはコギャルに聞けば間違いがなかったんです。
そして、大量仕入れによるスケールメリットで激安を謳うディスカウントストアも増えました。
生徒
でもマックは100円バーガーやめちゃいましたよね。
先生
そうなんです。サービス向上もディスカウントも最終的には周りが同じことをすれば均一化され、違いがなくなってしまいます。消費者は定価で買わなくなってしまいます。
安くておまけをいっぱい付けないと売れないわけですから、その埋没コストは企業側が受け持つことになります。企業の中の人は同じ消費者ですから、消費者のサービス残業によって収支のバランスがとられるわけです。
生徒
自分の首を自分で絞めていることに気がついたわけですね。
先生
そうです。ブラック企業の中身は、結局のところブラック消費者だったんです。
日本は高度経済成長期で得た貯金をこの20年くらいの間に使い切っちゃったんですね。
今、東京オリンピックに合わせた新国立競技場の建設が大問題になっていますが、おもてなしをしたいけどその余裕がなかったというのが好い例ではないでしょうか。
生徒
あぁ(笑)
上げすぎたハードルを下げられないんですね。
先生
まったくその通りです。
ネットのタダの壁の話に戻りますね。
リアルでは製品やサービスが均一化していくのに時間が掛かります。それは消費者の動態には物理的な制限が掛かるためです。
隣町に1円だけ安い日用品があるといっても、その隣町が50Kmも離れていたらガソリン代の方が高くつきまよすね。なので、リアルな市場では複雑な地形によって経済的に分断されています。田舎であれば尚更です。
ガソリン代は以前より高くなっていますから移動コストは増大しています。経済的分断は進んでいると言っても過言ではないでしょう。
生徒
私も高いと分かっていてもついついコンビニで買うことあります。
先生
ところがネットではどうかというと、まず情報が基本無料です。そして検索すれば選び放題です。
ここに送料が無料となればあとは商品の到着時間だけがネックです。
これも数年以内にドローンによる自動配送が実現すれば、移動距離が長い地方はネットで買った方が自分で買いに行くよりも早いという逆転現象が起きるでしょう。
生徒
ドローンって最近話題ですよね。
先生
はい。ニューヨークのアマゾンでは既に実験が始まっていると言われています。あとは法整備が整えば既得権益が支配する物流は壊滅的な打撃を受けることでしょう。ネットでは情報が無料でしたが、ドローンが太陽電池なんかで自走するなら、物流も限りなく無料に近くなるはずです。
生徒
ええっ!! すごい。本当にそんなことが起きるんですか?
送料がタダならネット通販ばかりになっちゃいそうです。
先生
おそらくそうなります。
しかし、もし自分がネットで商売をこれから始めようとしたら、なんでも無料で提供してしまう大企業に勝てるでしょうか?
生徒
絶対無理です!
先生
ですよね。これがタダの壁です。
商品やサービスが無料になると人々はお金のことを考えなくなりますから利用者は増えます。
既に0円なわけですから、価格を下げようが無く差別化ができないのです。
生徒
でもそうなるとどこでお金を稼ぐんですか?
先生
メインコンテンツを無料にするというのは宗教が好い例ですね。
例えば神社は入場料を取りません。お賽銭は参拝者の自由意志だし金額も決められます。
おみくじはギャンブルでありガチャ要素だし、絵馬や御札はグッズであり、祈祷はやお祭はライブです。
アイドルもライブやってますが、昔から日本にもライブがあったんです。
なにより宗教法人は法人税がありませんからね。
生徒
あっなるほど!
ではネットではどうやってお金を稼ぐんですか?
先生
いい質問ですね。ズバリ言うと個人情報です。
生徒
個人情報? 個人情報って名前とか生年月日とかのことですか?
先生
名前や生年月日なんて可愛ものです。年収から性癖までバレてますよ。
生徒
じゃあ私が○○○なことも?!(笑)
先生
○○○もバレてます(笑)
あと未来予測までしますよ。
生徒
えっ? マジですか?
でもどうやって?
先生
ビッグデータです。
生徒
ビッグデータと言えばさきほどおっしゃっていた検索エンジンですか?
先生
そうです。検索する言葉はその人の興味を表しています。ということは、心のなかを読むのと変わりがないです。
ニーチェの有名な言葉に「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」という言葉があります。
この言葉を借りれば、「検索エンジンで検索する時、検索エンジンもまたこちらを詮索している」ということになり、実際それが狙いです。
生徒
やだ怖い! マジですか?
どうやってのぞくんですか?
先生
ネット上のコンテンツにはウェブビーコンというものが仕込まれています。検索エンジンであるキーワードを検索したとします。ユーザーは検索結果から目的のサイトへ行けば検索エンジンはユーザーの動向を関知できないと思われがちですが違います。
実は、検索エンジンから移動しても追跡ができます。それがウェブビーコンです。
生徒
ウェブビーコンってなんなんですか?
先生
ビーコンというのは元々は海上のような広大で目印がないような場所に浮かべて信号を送り位置を知らせるための装置のことです。それがバナーやSNSのいいね!ボタンに仕込まれているんです。
なので検索エンジンを離れても、移動した先にウェブビーコンが含まれていれば追跡が可能です。
ページのどこをクリックしたとか、マウスポインタを何秒間停めていたなんていうことも分かります。
例えばページ内のダイエット関連の情報のところでスクロールを停めればおそらくユーザーがダイエットに興味があり、それを読んでいると予想できます。ということは、そのダイエットの情報を解析すればそのユーザーが何を考えているか細かく分かります。
生徒
なるほどー。アイトラッキングと一緒ですね。
先生
そうです。アイトラッキングは視線を追ってどこを見ているかを探る装置ですが、ウェブビーコンも正にその役割を持っています。多くのサイトには広告バナーが貼ってあり、Googleが提供するアクセス解析用のコードが埋め込まれています。広告に監視カメラも付いてるようなものです。
さらに投稿記事には大抵Twitterのツイートボタンもあったりします。
GoogleとTwitterはビジネスパートナー契約を結んでいるのでデータを共有できます。
生徒
ありますあります!
先生
訪問先で思わず「いいね!」とか「リツイート」をすると、アカウントがログインしたままであれば自分のアカウントまで知られることになります。そのアカウントで何かを書いていれば全て情報は抜かれてしまうと考えて下さい。交友関係も辿られます。
生徒
正に「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている」ですね。
先生
そうです。それだけではありません。
最近みなさんはスマートフォンいわゆるスマホを使っていますよね。
GoogleはAndroidというスマホを出しています。ネットだけではなく、リアルでユーザーがどの場所に住んでいて、どこで何をしているのかも傍受できるようになっています。
スマートウォッチといったウェアブルデバイスがもっと浸透すれば、誰がどこで何をしているのかは全地球的に知ることができるようになります。
生徒
でもそれってプライバシーの侵害とかにならないんですか?
先生
これについては今までは眉唾ものだったのですが、2013年にエドワード・スノーデン事件の際に明るみになっています。アメリカ国家安全保障局(NSA)は巨大なデータセンターを持ち、世界中のあらゆる情報を傍受しており、MicrosoftやGoogle、Facebook、アップルを含む大手IT企業9社が大規模なオンライン盗聴を行うプログラムを実施しているというものでした。
生徒
ほんとですか?? それは知りませんでした。
アップルもなんですか? iPhoneも?
先生
そうです。まぁ、そんなことがあったんです。
もちろんそんな事実は「ない」ということになっていますけど。
それにアメリカ自体が盗聴しているんですから、きっと認めないでしょうね。
生徒
違法ではないんですか?
先生
違法かどうかと言えば誰も捕まらないのだからグレーなんでしょうね。
通信というのは双方向ですから、情報を受信するということは送信もしています。
ネットワークケーブルやネットワークサーバの中を情報が通るのはごく当たり前のことです。
それにデータは断片化されていますから、単体で見てもなんだか分からないんですよ。
生徒
では大丈夫なんですか?
先生
単体で見てもというのは我々のような一般人が、ということです。
断片化されていてもそれを復元できるなら話は別です。
例えばずっとユーザーを追跡できたとしたら?

カテゴリー: ビジネス関連 パーマリンク

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