アルゼンチン 7月30日までに利払いができなければデフォルトに

アルゼンチン デフォルト
アルゼンチン政府が再び債務(借金)を返済できなくなるデフォルト(債務不履行)に陥る恐れが目前に迫っています。

全額返済を求める米ファンドと反発するアルゼンチンが7月30日までに和解しなければ、ファンド以外の債権者(借金を返してもらう権利がある投資家)への利払いができないためです。




しかし、7月24日のアルゼンチン政府とファンドとの協議は不調に終わるなど進展がみられず、このまま時間切れになる可能性も高まりつつあります。

米連邦地裁は、アルゼンチンに対し、NMLなどのファンドに債務全額の約15億ドル(約1500億円)を支払うように命じました。

さらに仲介人を指名し、デフォルト回避に向けて支払い方法などをファンドと協議するよう促してきました。

7月24日はアルゼンチン政府と、ファンド側の代表者がニューヨークの仲介人のもとに集合。

仲介人はそれぞれの代表者と個別に話をしたうえで、双方に初の直接対話を提案しましたが、アルゼンチン側が拒否し、実現しなかったといいます。

米ヘッジファンド、エリオット・マネジメントが運営するNMLキャピタルは7月24日の協議後、「アルゼンチンは問題を解決する気がない」と非難する声明を発表しました。

アルゼンチンは2001年に国債のデフォルトを宣言。

9割超の債権者が債務減額に応じましたが、米ファンドは格安で債権者から減額前の債権を買い取り、全額の支払いを求めています。

これに対し、アルゼンチンはファンドを「ハゲタカ」と非難。

裁判所に支払い命令の一時停止を求め、ファンドに対する債務返済を拒んでいます。

しかし、このまま7月30日の期限を越えれば、アルゼンチンは債務減額に応じた債権者への利払いが滞ることになります。

アルゼンチン政府は、支払い原資の外貨準備を約280億ドル持っていて、「払う意思があり、デフォルトではない」とデフォルトを宣言しない構えですが、国債の信用力を判断する格付け会社などは、支払い余力があるにもかかわらず債務が返済できなくなる「テクニカル・デフォルト」とみなす見通しです。

格付け会社の影響力は大きく、国際金融市場では事実上のデフォルトと受け止められそうです。

アルゼンチンは最初のデフォルト以降、国際金融市場で国債を発行しておらず、「再デフォルトによる市場への影響は限定的」(大手証券)との見方が大勢ですが、一時的な混乱も予想されます。

アルゼンチン政府がファンドへの返済を拒んでいるのは、デフォルト後の債務削減で減額に応じなかった債権者を特別扱いしないことを約束する条項を設けたためです。

一部のファンドに債務全額を払えば、すべての債権者に全額を支払う義務が生じる恐れがあります。

その場合の債務返済額は1200億ドルに上る可能性があり、アルゼンチンの外貨準備を大きく上回って本当に返済不能に陥ることになります。

フェルナンデス大統領は「国を危機にさらすような合意はできない」としています。

一部の債権者を特別扱いしない条項は今年末で切れるため、米ファンドへの返済を来年以降に先延ばしし、他の債権者への利払いは続けるデフォルト回避案も浮上しています。

アルゼンチン経済は現在、不況と30%を超える高インフレに悩んでいます。

アルゼンチンが再びデフォルトに陥れば、2015年12月の退任までに経済をソフトランディングさせたいフェルナンデス大統領はさらなるリスクを抱えることになります。

モルガン・スタンレーは今週、アルゼンチンがデフォルトに陥る可能性を先週の30%から50%に引き上げました。

アルゼンチンの闇市場では、デフォルト懸念が浮上してからアルゼンチンの通貨ペソが下落、7月25日には1ドル=12.60ペソ前後で取引されました。

6月半ばに米国の最高裁判所がホールドアウト債権者への支払いを支持するまでは1ドル=11.65ペソの水準でした。

これに対し、国債の投資家は期限ぎりぎりでの合意を期待しているようです。

ニューヨークで取引されている2033年償還のドル建てアルゼンチン国債の価格は先月、1ドル当たり74セントまで下落しましたが、現在は85.5セントで取引されています。

アナリストはデフォルト当日には50セントまで下落する可能性があると警告しています。

アルゼンチンの債務問題を巡る経緯

2001年   アルゼンチン政府がデフォルトを宣言

2005年   一部投資家が債務減額で合意

2010年   ほかの投資家の一部も債務減額で合意

2012年   ニューヨーク連邦地裁がファンドへの債務全額支払いを命じる決定

2014年6月 米最高裁が地裁の決定を不服とするアルゼンチン政府の上訴を棄却

6月30日 債務減額に応じた債権者への利払いの期限(利払いができずに1カ月の猶予期間入り)

7月30日 猶予期間の終了(この日まで利払いができなければデフォルトに)


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