アルゼンチンが米ファンドとの法廷闘争に敗北。デフォルト(債務不履行)への懸念

アルゼンチン デフォルト懸念
アルゼンチンは6月26日、13年ぶりのデフォルト(債務不履行)に一段と近づきました。

アルゼンチンは6月16日の米最高裁判断を受け、デフォルト時に国債の再編合意受諾を拒否しているヘッジファンドなど国債保有者(ホールドアウト債権者)のグループとの返済交渉期間を延長するよう米連邦地方裁判所に求めていましたが、同地裁がこれを拒否し返済を命じたからです。




アルゼンチンは長年、13年前の2001年のデフォルト対象となった国債の全額償還を求めて提訴したヘッジファンドとの間で法廷闘争を繰り広げてきました。

しかし、今回の米連邦地裁の拒否で、アルゼンチンにとって法的な選択肢はおおむね尽きたことになります。

米連邦地裁のトマス・グリーザ判事は、アルゼンチンに対し、デフォルトした国債を大幅に値引きした新国債に交換した投資家にクーポン(表面利率)通りに返済しなければならないと同時に債務再編を拒否しているヘッジファンドに対しても債務返済を実施しなければならないとの判断を示しました。

一方、アルゼンチンは6月26日、ホールドアウト債権者に返済しないまま、外貨建て国債保有者に対して6月30日に期限となる利子分約8億3200万ドルを返済に回したと発表しました。

この返済には、アルゼンチン中央銀行のニューヨーク・メロン銀行口座の約5億3900万ドルなどが使われるといいます。

アルゼンチンのキシロフ経済財務相はテレビ放映された演説で、グリーザ判事はアルゼンチンを新たなデフォルトに追い込もうとしていると非難しました。

キシロフ経済財務相は「このような馬鹿げた裁判所の判断は、我々を世界的な高利貸(ヘッジファンド)の前でひざまずかせようとする企てだ」と語りました。

しかし、債券保有者たちが実際に利子返済金を受け取れるかは不透明です。

グリーザ判事は、アルゼンチンから債券保有者に送金するニューヨークの銀行に対し、同判事の決定を回避しようとするアルゼンチンを銀行が手助けすれば、同判事の命令に違反することになると警告しました。

アルゼンチンの代理として支払い業務を処理しているニューヨーク・メロン銀行はコメントの求めに今のところ応じていません。

利子返済発表によって、アルゼンチンは、「債務再編対象の債券保有者に返済する能力と意思があるが、米国の裁判所の命令によってそうすることができないのだ」という内情を示そうとしている、とアナリストらは言います。

キシロフ経財相の姿勢は、海外ではより融和的なメッセージを伝えながら、判事とヘッジファンドを攻撃することによって、国内の信頼を維持しようとするアルゼンチン政府の戦略に沿っています。

キシロフ経財相は「債権者へのこうした支払いを妨害しようとする行為は、国際法に対する重大な侵害だ」と述べました。

アルゼンチンが利子返済方針を発表したのは、グリーザ判事が6月26日、ホールドアウト債権者に対するアルゼンチンの支払い猶予申請は「不適切」だとしたのとほぼ同時でした。

アルゼンチンはグリーザ判事に対し、6月30日に期限の到来する利子を返済し、ホールドアウト債権者との交渉期間を延長できるようにするため、同判事の命令を停止するよう要請していました。

これに対し、エリオット・マネジメント・コープ傘下のNMLキャピタル・マネジメントが主導する債権者団は、期間を猶予しても交渉はまとまらないと強調していました。

アルゼンチンがこうした債権者への支払いを阻止しようとしたのは、他の債権者の支払い請求が殺到するからです。

6月26日に表明された返済利子が実際に債券保有者の手に渡らないと、アルゼンチンは6月30日にテクニカルなデフォルトに陥ります。

そして、全面的にデフォルトになる前に返済するため、7月30日まで30日間の猶予期間が与えられます。

アルゼンチン株の代表的指標であるメルバル株価指数は6月26日午後、1.6%下落しました。

アルゼンチンの株価指数

アルゼンチンの外貨準備高

また6月30日に利子支払い予定のアルゼンチンのドル建て国債(2033年償還)は、判事の拒否を受けて額面100ドル当たり87.5セントから同85セントへと下落しました。

利回りは9.92%から10.14%に上昇しました。

それでもなお、これらの債券は、米連邦最高裁判所がこの件でのアルゼンチンの上訴を却下した6月16日以前の水準を上回っています。

これは、アルゼンチンとホールドアウト債権者が新たなデフォルト前の土壇場で合意に達するほうに投資家が賭けているからです。

アルゼンチンは2001年、深刻な経済危機の中で、総額約1000億ドルの債務についてデフォルトに陥りました。

アルゼンチンは後に、デフォルト対象となったアルゼンチン国債の保有者に対し、元本1ドルについて33セントに減額された新国債を提供しました。

この新旧国債スワップで、投資家はデフォルト国債の約93%分を交換しました。

しかし、NMLキャピタルやアウレリウス・キャピタル・マネジメントといった少数の債権者は、保有国債の再編、つまり新国債への交換を選択せず、全額の支払いを求めて争っていました。

これらホールドアウト債権者は、グリーザ判事の判断によって、約15億ドルを獲得しました。 


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