糖質を摂取せずに血糖は維持できている

アデロバシレウス
動物の脳は常に休みなく活動を続けなければいけないので、ブドウ糖の最大消費地です。

たとえば、サバンナの肉食獣なら、常に獲物を見つけようと目や耳を働かせ、感覚器から入る膨大な情報は休みなく脳に送り込まれます。

脳はその情報を直ちに分析し、獲物だと判断すれば相手との距離を判断し、風向きなど周囲の状況を分析し、どのように獲物に近づくかを瞬時に割り出し、全身の筋肉に指令を送ります。




一方、狙われた草食動物は、捕食動物の存在をいち早く察知しようと、絶えず周囲からの情報を脳に送り、捕食動物の存在を感知したら、その方向と距離を測定し、どの方向に逃げるべきかを瞬時に決定し、手足の筋肉に命令を下します。

このような脳の活動を維持するために、100mg/dl 前後の濃度のブドウ糖が必要なのでしょう。

脳は休みなくブドウ糖を消費し続けますが、もしも、ブドウ糖を消費し尽くして血糖値が下がったままの状態が続けば、脳はガス欠になって停止していまいます。

そうなれば、獲物を捕ることも逃げることもできず、死を待つだけです。

そうならないために、100mg/dl の血糖値を常に維持しなければいけません。

だからこそ、動物には「血糖値の低下を鋭敏に感知するセンサー」と、「ブドウ糖を補充して血糖値を保つシステム」が必要なのです。

この血糖値低下センサーと糖質補充システムは、四六時中、連続稼働していないといけません。

夜寝ている間にも捕食動物が襲ってくるかもしれませんから、眠っている間でも感覚器のスイッチは入れっぱなしにしておく必要がありますし、異常を察知してすぐに飛び起きることが出来なかったら、お陀仏です。

生き延びるためには、どんな時でも脳のスイッチを切るわけにはいかないのです。

当然、「低下した分のブドウ糖補充システム」も、24時間スタンバイ、いつでも起動可能にしておかないと意味がありません。

寝ていようと起きていようと、食事中だろうと絶食中だろうと、「血糖値感知・ブドウ糖補充システム」を止めるわけにはいきません。

脳がいつフル稼働状態になってブドウ糖を大量消費するのかは、前もって予測できないからです。

脳はあくまでも、刻々と変化する状況のなかで最善の一手を探し出すのが役目であり、脳のブドウ糖消費量を決めるのは、脳自身ではなく、周囲の状況です。

ですから、周囲の状況が変化すれば、それに応じて脳もフル回転し、ブドウ糖を消費し続けます。

状況の変化が突然の事態である以上、血糖値維持システムは、即時反応できるものでなければいけないことになります。

この「血糖低下感知・ブドウ糖補充システム」のうちの感知部門は、グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンなどのホルモンであり、これらのホルモンが分泌されると、血糖値を上昇させるべく様々な反応が起こります。

このように、血糖低下を感知するホルモンが複数あるのは、もちろん、低血糖が直接的に生命の危機をもたらすからです。

ですから、1つのホルモンの分泌が不調でも、他のホルモンで補えるようになっています。

これは一種のセーフティネットと言えます(逆に言えば、血糖を低下させるホルモンはインスリン1つしかなく、セーフティネットが存在しないことになります)。

では、ブドウ糖補充はどのようにしたらいいのでしょうか。

言い換えれば、ブドウ糖の調達をどうするかです。

誰しも直ぐに考え付くのは、「炭水化物やブドウ糖を含む食べ物を摂取する」という方式です。

しかし、「食事補充」方式には致命的欠陥があります。

糖質を含む食物が常に身の回りにあるとは限らないからです。

そういう都合の良い食べ物がなければ、たちまち脳はガス欠状態になってしまいます。

また、睡眠中にも脳はブドウ糖を消費しますが、だからと言って睡眠中に食事を摂ることは不可能です。

要するに、血糖値が下がって頭がボーッとしてきたから、食事をしましょう、では手遅れなのです。

身近に食べ物が無くても、とりあえず血糖値を維持して脳が働いているようでなければ、自然界では生き延びられないのです。

そして何より、「食事によるブドウ糖補充」理論では、現実の動物の血糖値を説明できません。

ハイイロオーカミ や オオヤマネコなどの完全肉食動物でも、血糖値が人間と同程度か、やや高めに維持されています。

同様に、牛などの反芻(はんすう)動物では、食べた草(=セルロース)を胃のセルロース分解菌・原生動物が分解して牛の栄養にしてくれますが、細菌や微生物が作るのは糖ではなく、アミノ酸と短鎖脂肪差なのです。

つまり、反芻動物も、食事から糖質は ほとんど摂取していないのです。

それなのに、オオカミも猫も牛も、100mg/dl 前後の血糖量を維持しています。

これは、肉食動物も草食動物も、食事から摂取した糖質で血糖値を維持していない、ということを意味しています。

要するに、血糖値を維持するためのブドウ糖は、食事由来ではないのです。

これは、地球に最初に誕生した哺乳類のアデロバシレウスが、夜行性の肉食動物(主に昆虫をエサにしていたらしい)だったことからも明らかでしょう。

この哺乳類の始祖は、体長10cm足らずで、エサにしているのは飛翔能力を持つ昆虫です。

つまり、あらゆる感覚を研ぎ澄まし、昆虫を上回るスピードで一気に襲い掛かからなければ、エサにありつけないのです。

エサを捕えるために、アデロバシレウスの脳は、ブドウ糖を栄養にして高速回転していたはずです。

しかもそのエサは、糖質をほとんど含まない昆虫なのです。


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