中国の成長減速がアジアの発展途上国全体の成長を抑える。アジア開銀見通し

アジア開発銀行 ADB
アジア開発銀行(ADB)は4月1日に発表した2014年版のアジア経済見通しで、中国の経済成長が2014年に7.5%、2015年に7.4%へ減速すると予測。

経済の不均衡是正(リバランス)に向けた当局の取り組みが背景にあるとし、中国の成長減速がアジアの発展途上国全体の成長を抑えるとの見方を示しました。




アジア地域の発展途上国は、今後2年間は依然として力強い成長を示すとみられますが、これは主要先進諸国で景気回復が続くとの見通しに加え、中国が国内の信用拡大を円滑に抑えられるかどうかにかかっています。

中国による信用拡大抑制策が熟考なしでされた場合は、世界第2位の中国経済の成長がさらに鈍化する事態に陥り、これが中国の貿易相手国であるアジア諸国の見通しを圧迫しかねません。

中国の経済成長率は、数年前までは2桁台でしたが、2013年は7.7%まで減速しました。

ADBはこの原因として、信用引き締め、過剰生産能力の解消、地方政府債務の拡大、賃金上昇、通貨高、さらに開発優先課題の見直しが続いている点を挙げました。

こうした要因が今年も総じて関連していることに変わりありません。

中国当局は十分な新規雇用を生み出せるだけの経済成長を維持しようと躍起ですが、同時に、投資や輸出への依存を減らし、成長の原動力として消費の役割を高めたいとも考えています。

一方、中国の政策担当者らは、国内の信用膨張への対処に苦慮しています。

こうした状況を放置すれば債務不履行(デフォルト)が生じ、銀行システムの安定を脅かしかねません。

ADBは、中国という下押し要因こそあるものの、先進諸国からの需要が改善しているため、アジアの途上国は2014年に6.2%成長、2015年に6.4%成長を達成できるはずだと指摘。

2013年は6.1%成長でした。

ただ、主要国の景気回復が腰折れした場合、アジアの輸出に対する需要は損なわれるだろうとも述べました。

ADBでは、今年はインドの経済成長が持ち直すと予想していますが、インド経済はなお潜在成長力を下回っているといいます。

ADBはインドの経済成長率が14年度は5.5%、15年度が6.0%となり、13年度の4.9%を上回ると予想している。インドは雇用情勢、労働技能、資本、インフラ、生産性の見通しが明るいと言う。

ADBは、中国の経済成長が今年減速することで、韓国や香港、台湾など新興国および地域の成長が一部相殺されると指摘しました。

韓国の成長率は2014年に3.7%、2015年に3.8%を記録するとみられています。

一方、香港は3.5%および3.6%、台湾は2.7%および3.2%の成長が見込まれています。

ADBは東南アジア諸国連合(ASEAN)の5大国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)でも、今年の経済成長が昨年の5.2%というペースを維持するとの見方を示しました。

インドネシアでインフレが落ち着き、タイで政治的混乱が収束するのに伴い、2015年には成長率が5.6%へ改善する見通しだといいます。

また、国際商品価格の下落を背景に、アジア途上国の消費者物価上昇率(2013年は平均3.4%)は低水準にとどまると指摘しました。

食料品や燃料価格は下落が見込まれているものの、一部の国の当局が燃料補助金や電気料金を調整するため、インフレ率は2014年に3.6%、2015年に3.7%へ上昇するとみられています。

東アジアのインフレ率は2013年に4年ぶり低水準の2.4%に達しましたが、2014年は2.5%、2015年も2.9%にとどまる見通しです。

ADBはさらに、アジア途上国には公正な社会の実現を目的とした公共投資を促す必要があると述べました。

教育や医療向けの公的支出は先進国や南米諸国の支出レベルに立ち遅れています。

アジア途上国では教育支出が平均して国内総生産(GDP)の2.9%相当であるのに対し、先進国では5.3%、南米では5.5%となっていますが、医療費になるとこの開きはさらに大きくなります。

ADBの次席チーフエコノミスト、ジュゾン・チュアン氏は見通しと共に公表した声明で「アジアの包括的な成長を促す上で、財政政策はより大きな役割を果たすことが可能であり、また、そうしなければならない」と指摘しました。

「アジアの政策当局は、成長の恩恵が広く共有される経路への移行に向け、今こそ、包括的目標を財政計画に盛り込むために行動しなければならない」とも述べました。


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