アベノミクスの2本目の矢である「機動的な財政政策」の問題点

平成24年度補正予算
アベノミクスの2本目の矢である「機動的な財政政策」について検証してみます。

下記の平成24年度の補正予算を表している図をご覧ください。




平成24年度補正予算

歳出のところを見てもらうと、合計10.2兆円の超大型予算が組まれています。

過去の大型補正予算と比較してみましょう。

1995年以降最初の10兆円を超える補正予算が組まれたのは、1998年の小渕政権のときでした。

このとき組まれた予算の規模は12兆円。

小渕政権では翌年もまた10兆円の補正予算を組んでいます。

これには1998年に起きた金融システム不安(複数の銀行が倒産)の余波で、景気の落ち込みが著しく、それを立て直すためという大義がありました。

次に10兆円を超える大型補正予算を組んだのは、2009年の麻生政権のときで、12兆円と15.4兆円の予算が組まれています。

これには前年に起きたリーマンショックの影響で、景気が未曾有の悪化状態にあったという考慮すべき事情がありました。

最後に10兆円を超える大型予算を組んだのは、2011年の野田政権のときで、12.1兆円の予算が組まれたことがありました。

これには、同年起きた東日本大震災の影響で冷え込んだ景気に活力を与えるという容認されるべき事情がありました。

これら3つの実例から平成24年度補正予算に記載されている10.2兆円が適切だったのか考えてみますと頭をひねってしまいます。

各種統計データから、2012年の秋からは世界的に景気が回復局面に入っていることが明らかになっています。

日本も同様に景気が立ち直りつつあったので、10兆円を超える規模の補正予算を組まなくてはいけなかった理由は見当たりません。

しかも、もう1つ大きな問題点があります。

歳出の合計である10.2兆円を実行するための財源が「公債金=国債」、つまり借金です。

これで10.2兆円のうち5.2兆円を賄っています。

問題は「年金特例公債金」というもので、これはなんと「将来の消費税を償還財源」とした、いわば空手形なのです。

では、将来の税収を借金のカタにしてまで、やらなくてはいけなかった事業とは、一体何だったのでしょうか?

歳出項目の中に「成長による富の創出関連経費」というのがありますが、正直、何に使うお金かわかりません。

今回の補正予算に関しては10兆円という金額が、まずありきだったそうです。

その上で、各省庁から挙げられる事業をすべて挙げさせたけれども、それでも総額10兆円には届かず、やむなく今後資金需要のある企業が出てきたら融資をする予算として計上されたのが、「成長による富の創出関連経費」なのだそうです。

金融政策というのは、市場の期待に働きかけなくてはいけないので、ある程度ハッタリが必要な側面があることは否定しません。

インフレ率が2%にならなくてもアベノミクスの失敗とは思わないのは、インフレ率2%という目標には、このハッタリが多分に含まれていると考えられるからです。

しかし、財政政策というのは、やればやるほど赤字が増えるのですから、ハッタリをかましても、良いことなど全くないのです。

また、最近、「来年の消費税に合わせて、また補正予算を組んだほうがいい」という発言を耳にします。

このような傾向に対して、アベノミクス反対派の人たちは「機動的でなく、持続的財政が続いて、借金の歯止めが効かない」と懸念を抱いています。

日本の財政状況は、けっして安心できるとはいえない瀬戸際の状況が今後も続くと見込まれています。


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