アベノミクス
1990年のバブル崩壊で、日本が成長する時代は終わりました。

それからの20年は過去の蓄積が大きさのおかげで、(1)ゼロ金利(2)ゼロインフレ(3)ゼロ成長でも、クラッシュさせずにやってこれました。

1人当たりGDPで比較すると、ユーロ圏で独り勝ちといわれるドイツをいまだに上回っています。

もちろんイギリス、フランスよりも豊かで、(1)(2)(3)でも十分に暮らしていけるのです。

そんな状態を良しとせず「経済を立て直し、成長する日本を取り戻す」というアベノミクスによって2%のインフレ目標を掲げ、GDP成長率や金利も2~3%程度を目指しています。

でも、ほとんどの商品が行き渡るところまで行き渡った今の日本に「成長」の余地はあるのでしょうか。

飽和状態の中で無理やり成長しようとすれば、バブルが生成されます。

実際、実物経済の低成長を金融分野で穴埋めしてきた米国では、ITや住宅のバブルが発生しました。

その後はリーマン・ショックです。

バブルの成長分を超える信用収縮に見舞われました。
 
得をするのは、その間に稼いだ1%の富裕層です。

たとえバブルが崩壊しても、公的資金で救済されるため、彼らの痛手は大きくありません。

一方で何ら恩恵を受けていない中間層は、リストラされて職を失った上で、救済のための負担を強要されます。

1%の富裕層は逃げ切り、99%が痛むを被るのが「成長」の帰結です。

アベノミクスで成長を求めれば、だれかを踏み台にするしかありません。

勝ち組となるには負け組が必要です。

多くの人は、「自分は勝ち組になれる」と思っているのかも知れません。

でも、それは、知らず知らずのうちに近くの誰かを突き落とす行為。

いずれはみんな1%の人たちに踏みつけられるのです。

投資が行き渡った現在、高度経済成長の再来は望めません。

成長は近代の病気です。

「頑張れば成長する」は幻影に過ぎません。

取り憑(つ)かれるとひどい目に遭うのです。
 
このままアベノミクスを続ければ、日本という国家も経済も立ち行かなくなるでしょう。