アベノミクスの量的・質的金融緩和の海外評価は「シュガー・ハイ」

アベノミクス
外国メディアによるアベノミクスの批評記事に「sugar high(シュガー・ハイ)」という語句が見られます。




Some commentators worry Japan is on a “sugar high” and that the stimulus measures will not work.
(日本は“一時的に元気になって”はいるものの、景気刺激策はワークしないのではないかと、何人かのコメンテーターは心配している。)

糖分を摂取すれば血糖値が上がり、目が覚めて一時的に元気になるという現象に由来していて 「シュガー・ハイ」のところは、「一時的に元気になった」と訳されています。

この「シュガー・ハイ」という英語の表現がネガティブなニュアンスで用いられているのは、糖分を取りすぎてしまうと、肥満になりやすいほか、命にも関わりかねない糖尿病をはじめとする様々な生活習慣病にかかるリスクが高まる怖さがあるからです。

日本でも昔から「何事もほどほどが肝心」と言われ続けてきたことにもつながる理屈です。

黒田東彦総裁の下で日銀が実行している「量的・質的金融緩和」も、いわば「糖分の過剰摂取」

第1の大きな問題点は、日銀のバランスシートが膨張を続け、保有する有価証券の価格変動リスクがその中に蓄積していくということが挙げられます。

日銀が保有する国債の評価方法は2004年度に低価法から償却原価法に変更されましたが、時価情報も併せて開示されています。

仮に長期金利が将来、大幅に上昇しますと、日銀は資本不足ではないかという疑念が市場で生じかねません。

また、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J-REIT)は国債と違って満期償還がなく、売却しない限り日銀のバランスシートから外れません。

しかし、市場への影響を考えますと、現実問題として簡単には売却するわけにいきません。

2つ目は、日銀による大規模な長期国債買い入れの弊害です。

債券相場が「日銀主導の需給相場」と化していて、市場としての機能が相当損なわれています。

このため、財政の規律が緩んだ場合の「警告シグナル」発信が非常に難しくなっています。

さらに、日銀の大量買い入れによって国債市場の需給が細り、国債の増発がこれまでよりも簡単になることを通じて、財政規律が間接的に緩みやすくなるという問題点もあります。

この実験的な緩和からの「出口」という意味での、バランスシートの縮小および銀行券ルール一時停止の解除のタイミングや手法は見えていません。

それのみならず、その1つ前の段階である長期国債などの大規模な買い入れを縮小・停止するタイミング、つまりアメリカ的に言えば「tapering(テーパリング)」を実施する時期についても、全く見えていないという問題もあります。

金融政策が今後たどるコースの不確実性は高すぎます。

既に述べたように、時間の経過とともに、日銀のバランスシートにはリスクが蓄積していきます。

その一方で、焦って買い入れの縮小に動いて市場との間にミス・コミュニケーションが発生すると、市場の大きな混乱につながりかねません。

童謡に歌われている「行きはよいよい、帰りは怖い」の典型例と言えます。

「量的・質的金融緩和」は、人々やマーケットの「期待」という、本質的に不安定で、かつあいまいなものに依存する度合いが大きい金融政策であるため、「期待のマネジメント」に失敗してしまった場合、その後始末に苦労する恐れもあります。

さらに、そうしたマネジメントにおいて失敗すると、中央銀行としての日銀の信認に大きな傷が付きかねません。

金融緩和の強化・長期化を受けて、円の超低金利と円安がこのまま長く続く場合、円という通貨の国際的なプレゼンス(存在感)が一段と低下しかねないという問題点も指摘することができます。

 
以上のように、言い出せば切りがありませんが、アベノミクスの1周年を機に、もう一度いろいろと考えてみる必要があることは確かなようです。


カテゴリー: 日本経済 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。